医療法人泰庸会新潟脳外科病院

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脳出血

脳出血

脳の中の細い動脈が破けて出血し、脳の内部に血液の塊が形成された状態を、脳出血とよびます。
出血によって脳組織が破壊されたり、血液の塊によって周囲の脳組織が圧迫をうけることにより症状がでます。
後遺症を残すことが多く、出血部位や出血量によっては命に関わることになります。

 

脳出血の危険因子

脳出血の 最大の原因は高血圧です。高血圧が長期間持続することにより、穿通動脈とよばれる細い血管の壁が脆くなり、そこから微小な動脈瘤が形成され、やがて破綻して出血すると考えられています。
その他に、高齢の方、過剰な飲酒、腎臓疾患、抗血小板薬・抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)などで発症リスクが高くなるといわれており、注意が必要です。
また先天的な血管の異常(もやもや病、脳動静脈奇形など)や、高齢の方にみられるアミロイド血管炎とよばれる病態が関与している場合は、血圧が高くなくても脳出血を起こすことがあります。

 

脳出血の症状

・意識障害
・言語障害、手足の麻痺・痺れ
・視野が欠ける、顔の動きが麻痺する、ろれつが回らなくなる、飲み込みが悪い
など、様々な神経症状を引き起こします。

 

突発的に発症することが多く、症状の程度も軽症~重篤なものまで様々です。

 

脳出血の診断

頭部画像検査(CT、MRI)により、通常の脳出血は容易に診断されます。

 

CT検査

急性期の出血は高吸収域(白く見える)として描出されます。
出血した部位や、血腫(脳の内部に形成された血液の塊)の量、血腫による周囲脳組織への圧迫の程度、水頭症(漏れ出した血液の影響で水の循環が滞り、水をためている空間である脳室が拡大する)の有無なども確認し、治療方針の決定に役立てます。

 

MRI検査

出血そのものに加え、脳動脈瘤や脳血管奇形など、出血源となる血管異常の有無を確認することができます。トラクトグラフィーとよばれる撮像法では、神経線維の走行と出血との関連性が描出されます。

 

 

CT画像

MRI画像

 

 

トラクトグラフィー:神経線維が血腫によって圧迫されている様子がわかります。

 

脳出血の治療

病状に応じて、主に点滴による保存的治療、手術療法、リハビリテーションが行われます。

 

保存的治療

まず止血剤(出血を止める薬)の投与や、厳格な血圧管理によって、しっかりと出血が止まるよう治療を行います。
その上で、脳のむくみを引かせる点滴を行い、できるだけ脳組織への圧迫が解除されるよう努めます。

 

手術療法

血腫量が多い場合、保存的治療では救命や回復が困難と考えられる場合、血腫をへらすことでリハビリテーションが早期にすすむことが期待できる場合には、以下のような手術を考慮します。

手術適応については、患者様の年齢や全身状態、治療によって期待できる回復の程度、発症前のADL(日常生活に必要な動作がどの程度自立しているか)をふまえて、ご本人・ご家族の意向に沿って決定します。

 

脳室ドレナージ:水頭症がある場合に、脳室内にチューブを留置し、余分な水を外部へ逃がします。

開頭血腫除去術:全身麻酔下に頭蓋骨を大きく開け、内部の圧を逃がすとともに血腫を取り除きます。

 

小開頭による血腫除去術:最小限の侵襲で血腫を取り除きます。

 

 

術前

術後

 

小開頭による血腫除去
頭蓋骨に直径1.5cm程度の穴をあけ、脳内の血腫を吸引しました。
血腫の液状部分が除去され、脳圧迫所見が軽減しています。


リハビリテーション

保存的治療・手術療法と並行して早期にリハビリテーションを開始し、日常生活ができる限り自立するよう、訓練を進めていきます。

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