転倒による打撲など頭部の比較的かるい外傷をきっかけとして、脳を被覆している硬膜の下にゆっくりと血腫が貯留してくるものです(外傷がなくても起こることがあります)。
通常は、受傷後3週間以上をへて発症します。
高齢の方に起こりやすく、その他に抗凝固薬の使用や飲酒も発症の要因となります。
慢性硬膜下血腫の症状
受傷から3週間以降に、徐々に症状が現れてきます。
・頭痛
・片側の手足の脱力
・言葉がでない
・ろれつが回らない
・認知症
など、症状は様々です。
長期間放置すると、意識障害や呼吸停止に至ることもあります。
慢性硬膜下血腫の診断
CT・MRIの画像で診断します。
硬膜下に貯留した血腫は、三日月状の影として認められます。
頭部MRI(FLAIR画像)
慢性硬膜下血腫の治療
①手術
症状がある場合は穿頭ドレナージ術を行います。
局所麻酔下に、頭蓋骨に直径約1cmの穴をあけ、硬膜を切開して血腫を吸引除去します。
脳への圧迫をなくすことで症状の改善が期待できます。入院期間は通常1週間ほどです。
術後、再発の可能性が5~10%程度あり、MRIやCT検査による定期的な経過観察を行います。
②保存的治療
血腫が少量で症状がない場合には、点滴・内服薬で血腫を減らす治療をすることもあります。治療にもかかわらず血腫が増大する場合は、やはり手術を行います。
手術直後のCT画像:血腫が除去され、空気と脳表を洗浄した水に置き換わっています。
手術翌日のCT画像:血腫がたまっていた隙間がふさがり、脳への圧迫が解除されています。